感述@辰屋

毎週日曜日12時の投稿出来るよう適度にやる「店主 辰人が体験したことなどの考えや感想など述べる」ブログです。

仮想『引っ越しを考えている伊藤ちゃん(仮名)の原状回復について助言してみた』

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今回は、伊藤ちゃん(仮名)から原状回復について質問を受けたので店主なりに回答したいと思います。
(登場人物はフィクションで実在の人物と全く関係ありません。)

伊藤ちゃんの状況

さて、質問者の伊藤ちゃんの状況は以下の通りのようです。

《伊藤ちゃん(仮名)》

    【状況】
  • 引っ越しを検討中
  • 【心配】
  • 原状回復がどれだけなのか不安

原状回復

原状回復とは字のごとく読めば「以前の形のまま元通りにすること」となります。
賃貸における原状回復とは「借主が住む以前状態に戻すこと」となります。
言葉の解釈が借主と貸主の間で敷金や退去費用でトラブルになることが多かったんですね。

国として

国としてこのようなトラブルを避けるべく国土交通省がとあるガイドラインを公表しました。
それが、「原状回復をめぐるトラブルとガイドラインについて」です。

このガイドラインは、国土交通省が「妥当と考えられる一般的な基準をガイドライン」として1998年3月に纏めたものになります。
この中には原状回復の定義や借主の負担、貸主の負担など今まであいまいだった部分について明文化されています。

賃貸契約書に対しての効力について

ガイドラインを公表したのなら「賃貸契約書よりも上だから」と考えがちですがそうではありません。
利用に当たっては以下のような記載があります。

<利用にあたって>
[1]このガイドラインは、賃料が市場家賃程度の民間賃貸住宅を想定しています。
[2]このガイドラインは、賃貸借契約締結時において参考にしていただくものです。
[3]現在、既に賃貸借契約を締結されている方は、一応、現在の契約書が有効なものと考えられますので、契約内容に沿った取扱いが原則ですが、契約書の条文があいまいな場合や、契約締結時に何らかの問題があるような場合は、このガイドラインを参考にしながら話し合いをして下さい。
出典:住宅:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について - 国土交通省

つまり、一応は現在の賃貸契約書を有効なものとして扱い、曖昧な部分や問題のある部分については適宜話し合ってね!ということです。

定義された原状回復

このガイドラインで、原状回復についてはこう明確化しました。

(1)原状回復とは
原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、その費用は賃借人負担としました。そして、いわゆる経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれるものとしました。
⇒ 原状回復は、賃借人が借りた当時の状態に戻すことではないことを明確化
出典:住宅:「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について - 国土交通省

要は、生活上でどうしてもついてしまう傷や経年劣化の修繕費用は毎月の賃料に含まれていて、それ以外の故意や過失などによってついた傷は借主の負担にしますってことをざっくりと言っています。

《毎月の賃料に込々》

  • 通常の使用による損耗
    普通に生活していくうえで、どうしても避けられない損傷のことを指す。

  • 経年劣化
    年数を経ることで損耗や劣化していくものを指す。

《原状回復として借主の負担》

  • 故意や過失
    自己の不注意でつく、通常生活でつけることが考えられない損耗や毀損を指す。

  • 善管注意義務違反
    借主の管理が不十分であったことが原因で、物件に劣化や破損を与えることを指す。

事例

日常的にあり得そうな事例がどれに分類されるのか簡単にまとめてみました。

  • 通常の使用による損耗
    フローリングや畳に家具を置いて凹んだ/壁紙の家電焼け/カレンダーを壁に飾る際の画鋲

  • 経年劣化
    フローリングや畳の日照焼け/壁紙の日焼け

  • 故意や過失
    家具家電の移動に際して付いた傷/たばこの焼け跡

  • 善管注意義務違反
    飲み物をこぼして拭かなかったことで出来たシミやカビ

請求額

では、故意や過失によってつけてしまったことによって掛かった全額を払う必要があるか?という点ですが、原則的にはNOです。
何故、原則的にという話をしたかというと上述したように「賃貸契約」によって異なるためです。

では、費用はどのように算出されるのか?
耐用年数と入居年数から算出される残存価値から借主が負担すべき金額を割り出します。

《例題》
扇風機を二つ借りました。片方は新品、もう片方は3年は使ったであろう代物です。
ぶつかってしまった結果、二つとも壊れました。
2万2万の計4万円を支払うよう言われましたが、それに応じますか?
《回答》
大方、NOでしょう。
《理由》
『片方は既に3年も使ってて2万円の価値が無いから』です。

つまり、製品や商品は費用(価値)があり、その多くは耐用年数が定められています。この価値は年を経るごとに下がっていきます。
それは賃貸における「通常損耗や経年劣化」とみなされ賃料に含まれているので、その分まで請求される必要はないということです。
(経理だと、減価償却に近い考えですかね。)

では、具体的に賃貸の例に落とし込んでみましょう。

《例題》
入居時、クロスが新品だった部屋に3年間入居していた借主が、誤ってクロスを破いてしまった。
張替えに5万掛かったとすると、借主が負担する金額は?

クロスの耐用年数は6年であり「ガイドラインでは6年で残存価値は1円となるよう負担割合を算定する」とあります。
この場合、3年後に破いてしまったためその時点でのクロスの価値は「50%が残った状態」なのです。
で、この50%の価値があったクロスが張替えになったので「張替えに必要な金額の50%分の負担」が借主に発生するということです。
勿論、耐用年数というのは前の入居者も含めて計算されるため、借主の入居3年前に張替えがされていて今回のように3年間住んだ後、誤ってクロスを破いた場合は、耐用年数6年が過ぎているため残存価値は1円になっているため負担は1円となります。

ただし、今回のケースはあくまでガイドラインに照らし合わせた結果なので賃貸契約や特約事項などにより変動しますが覚えておいて損はないでしょう。

最後に

今回の助言では、ガイドラインを読んでの解釈だったり、一部の内容について自身の住居を管理する管理会社に確認したことも含まれています。
当然、全ての借主に当てはまるわけではありません。
契約書の内容とガイドラインをもってして管理会社に不明部分を確認することは絶対に忘れてはいけません。

退去に際して敷金の返金について揉めることもあるでしょう、その時身を守るのは今回覚えたこのガイドラインです。
いまは大手の賃貸会社でも「原状回復について」説明しているのを見ると、借主・貸主問わずお互いが気持ちよく貸し借りできるようにするためにも必要な知識なんだと思います。
覚えておいて損はない知識でしょう。